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これからの学校教育と読書・学校図書館活用(大子連公開講座)

大阪府子ども文庫連絡会(大子連)の公開講座に行ってきました。

これからの学校教育と読書・学校図書館活用
講師:鎌田和宏氏  (帝京大学教育学部教授)
日時:2020年2月18日(火)10:00~12:00
場所:大阪市立中央図書館

小学校教諭の経験を経て、教育方法(情報リテラシー教育・授業研究)、社会科教育を研究、学校図書館を活用 した授業の授業研究に取り組んでこられました。学校図書館を研究している方は国内に40名あまり。多くは図書館情報学系の方で、教育学系の研究者は10名くらいなのだそうです。

山形県鶴岡市立朝暘第一小学校、島根県松江市立揖屋小学校(旧八束郡出雲町)という学校図書館活動で有名な学校の実践の報告は、もう目を見張るばかりです。(皆さんも読んだり聞いたりしたことありますよね?)

圧巻だったのは、鎌田先生が小学校で担任をされたお子さんのお話です。小学校1年生の初めのころのたどたどしい作文が、「これを小学生が書いたの?」と目を疑うような文章に変わっていくのです。先生は朝暘小学校を訪ねた後、ご自分のクラスで実践されたそうです。豊富な読み聞かせの中で、読書習慣を身に着け、子どもの好奇心を大切にして、繰り返し情報リテラシーを育てる指導を行い、学校図書館を利用する力をつけていくこと。作家の文章を読み、それにならって作文を書くうちに、自分の文章が書けるようになるのです。

日記という形で日常を綴り、些細な疑問を本を駆使して調べ、それをまた文章にする。読むだけではなく書くことをしっかりやっている子は伸びていくのです。

読んだら書く。その繰り返しが、多くの情報の中から必要な情報のみを抽出する力になっていくという例をいくつも見せていただきました。
本よりインターネットと言われる昨今ですが、学校図書館をしっかり使えている子どもたちからは「インターネットは断片の情報でしょ。本はまとまりの情報だよ」という声が上がるそうです。

先生は読書には「楽しむための読書」と「知識・情報を得る読書」があり、生き方を育てる読書へと育てていかねばならないとおっしゃいます。それはいろいろな本を読んで判断する力を得るということです。
私事ですが、息子たちが小さいころ、絵本には「おかずの本」と「おやつの本」があるねえと言っていたことを思い出しました。おやつだけでもダメだけど、おかずばかりでは面白くない。おかずとおやつの両方があってあなたたちの頭と体はつくられるんだよ…と。

学力テストは今必要な力を確かめているだけ。読書は自分の興味と関心に基づく課題を見つけ解決する力を養う未来を拓く力となる。私の胸に響いた一言でした。

最後に、学校図書館活用教育を成功させるための7つの鍵をどうぞ。
①魅力的な学校図書館の構築
②資料を探しやすい学校図書館環境の整備
③教育課程に対応した学校図書館コレクションの構築
④利用指導の実施
⑤教育課程への位置づけ
⑥前提となる読書指導
⑦学校組織の再編と研究・研修への位置づけ



神戸市の学校関係者、教育委員会、市会議員のみなさんにも聞いていただきたいなあと思いました。


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兵庫県立図書館リニューアルオープン記念講演

少し前の事になります。
兵庫県立図書館が耐震化工事が終了し、リニューアルオープンしました。その記念講演があるということで、参加してきました。

「図書館の上手な使い方」

日時:平成30年7月15日(日)
場所:兵庫県立図書館第2研修室
講師:中野雅至氏(神戸学院大学社会学部教授)

中野先生は旧労働省に入省後、旧厚生省を経て公募により兵庫県立大学大学院助教授、その後同大学院教授となられ2014年4月から現職に就かれています。
テレビのコメンテーターとしてもご活躍中です。

まずはご自身の在学中の経験や、ご研究でどのように図書館を利用しているのかというお話から始まりました。
研究者として、先行研究について調べることや自身の研究の斬新さを追及することは、図書館で学ばれたそうです。

実践しておられる読書法も紹介くださいました。
①積読、速読、精読を使い分ける。
②論文の読み方
まず要約を読む。これでほとんどの論文の内容把握できる。
結論から読み、その後で導入部分を読む。これは! という内容なら本文を読みすすめる。
キーワードを拾い読みする。

そもそも大量の資料を読みこなす必要があるので、読むことに貪欲にならざるを得ないというのが研究者なのかもしれません。
私の生活のなかではそれほど多くの資料を読むことはありませんが、そんな私でも、レファレンスをしてブックトラックいっぱいの本を出してもらったときには、ぺらぺらとページをめくってみた後、これは! という本を何冊か選んで、さらに後ろから読んで、期待した内容であるかどうか見てみる。手応えがあった本を選んで最初のページから読む……ってことをしているなあ、と思いました。
大量の論文を読まねばならない方や学生さんは参考にしてください。

さて、図書館をめぐる現況についてのお話に移ります。

<なぜ図書館には人が集まるのか?>
顧客主義の強化、図書館職員の創意工夫、意外と本離れはしていないという現実を挙げられました。
長引く不況、減る小遣い、暇をつぶせる場所であることも図書館に人が集まる要因だとも。

<これからの図書館はどうあるべきか?> 
1.若者が集まる 2、外国人が集まる 3、街の中心に 4、地域活性化の中心に 5、独自性を持つ

その中でも若者を引き付ける方策として、次のことを示してくださいました。
豊富なイベント(景品付きも)、 DVD等の視聴覚資料、魅力的なコーナーつくり(就活、大河ドラマなど)、飲食スペース

<図書館にさらに人を呼び込むには>
①図書館にくるとこんないいことがあるよというアピール(データを示して具体的に)
②外国人観光客を対象としたサービス(訪日観光客が一度図書館によって観光に)→観光資源によって国として収入をあげる
③図書館を中心とした街づくり
 ・コンパクトシティの中心に
 ・コミュニケーションの中心に
 ・イノベーションの中心に
 ・子育ての中心に


中野先生のお話は、フロアとのやりとりも多く何度も笑いが起きる楽しいものでした。
先生が「命にかかわる暑さの中お集まりいただいて…」とジョークを投げていらっしゃましたが、本当に暑い日でした(今夏は毎日酷暑なわけですが)が、汗だくになって行った甲斐がありました。ありがとうございました。


やっぱり図書館が大事!Part26(大子連公開講座)

大阪府子ども文庫連絡会(大子連)の児童文化講座 図書館で探そう「未来へのとびら」に参加しました。
(2018年2月13日・大阪市立中央図書館にて)午前は基調講演、午後は交流会です。

公開講座として誰でも参加できる機会をつくっていただきありがとうございます。これまで何度も参加し、そのたびに自分なりの大きな収穫を得てきました。

<基調講演>
今回の講師は福岡県小郡市立図書館前館長永利和則さんです。現在は福岡女子短期大学特任教授でいらっしゃいます。

小郡市立図書館といえば、直営から指定管理になりまた直営に戻った図書館です。永利さんはその両方を経験された館長として、貴重な経験をされた方です。私は5年前に受講したセミナーでお話を聞いたことがあります。その当時は現職館長さんでした。
「図書館法第3条を具現化するサービス」のお話が心に残っています。

最初に公共図書館の現状を解説。民間になれば専門家が増える(司書率が増加する)というのは幻想であるとガツンとひと言。
それを指定管理に移行する理由に挙げているところ多いですよね? 現実はそうはいかないということですね。

このところ取り上げられることが多い「図書館によるにぎわいの創出」。ユネスコ公共図書館宣言にも図書館法にも教育基本法にも教育振興基本計画にだって、これからの図書館像にだってにぎわいという言葉はないとガツンとふた言目。

そして図書館法第3条に掲げられている図書館サービスについて列挙されました。やはり基本に立ち返って考えなければならないということです。図書館サービスの根拠を説明できるかという問いかけは今の状況だからこそ大きな意味があると感じました。

指定管理と直営の両方を経験されたからこそ(そして今は図書館を離れていらっしゃるからこそ)指定管理の問題点を明確に説明してくださったと思います。一番大きなことは、指定管理の館長は公の発言権がないこと、市の政策決定過程にかかわれないこととの説明でした。(逆に言うと直営の館長は市と直接話ができるのだから、しっかり政策決定にかかわってくださいということですね。(ほんとにほんとにそう思います。)

そこからもう一歩。
文部省の機構改革、第3次教育振興基本計画の策定、子供の読書活動推進に関する有識者会議、人生100年時代構想会議、ニッポン一億総活躍プラン、認知症施策推進総合戦略と認知症にやさしい図書館ガイドライン、まち・ひと・しごと創生法、公共施設等総合計画の策定、学習指導要領の改訂、これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策等について(通知)、生活困窮者自立支援法……。永利さんが挙げられた図書館と関連する国の動きの数々です。
これらをしっかり押さえて市の政策決定にかかわっておかないと、図書館が置き去りにされる??? 

10年以上も前でしょうか。行政職員の方(部長級)が「専門職ばかりというのも考え物です。」とおっしゃっていたのを思いだしました。行政の中枢に食い込んで予算をとってきてこそ、専門を活かしたサービスができるのですから。

図書館を応援している利用者として知っておかねばならないことをたくさん教えていただきました。ありがとうございました。

小郡市立図書館のサービスについても詳しく解説していただきました。学校図書館支援も充実しています。多くの自治体から視察に来られるというのも納得です。神戸市議会文教子ども委員会が視察にに訪れたことにも触れてくださいました。平成25年夏の視察です。学校司書配置の話が進んでいた頃です。おかげさまで、翌年から学校司書配置が始まりました。
毎年少しずつ配置校が増えていますが、ここにきてそのスピードが鈍ってきています。
図書館ネットは専門、一校専任、正規の全校配置を要望しています。正規職員のハードルは高いけれど、専門、一校専任は実現しています。今後もこの枠組みを崩すことなく、継続的制度として確立するよう要望し続けたいと思います。


<交流会>
まず、午前の講演を受けての質問に永利さんが答えてくださいました。
正規職員と非正規職員の協働は大きな課題ですが、小郡市立図書館では非正規職員にも予算と権限を与えているとのことでした。非正規職員の希望を聞き、条件整備をするのが正規職員である館長の仕事だとおっしゃっていました。この場合、分掌規程の中に「嘱託職員が起案できる」という根拠を見つけたことで可能になったそうです。

次は大阪府下の各団体、個人からの報告です。毎回各地の様子が活発に報告されます。10カ所を超える自治体の報告がありました。新しいサービスの報告や図書館と利用者団体・ボランティア団体との連携が進んでいるお話も聞けました。

神戸市の報告も求められ、市立図書館の状況と学校司書について少しお話しました。とりわけ学校司書への関心が高かったように思います。

考えなくちゃならないこと、やらなくちゃならないことがたくさん見えた日になりました。大阪府子ども文庫連絡会の皆さま、ありがとうございました。



学校図書館問題研究会兵庫支部との交流会(2017年)

学校図書館問題研究会とこうべ子ども文庫連絡会との交流会は毎年この時期の開催が恒例です。
今年は2月26日に開催されました。文庫連から4名参加、うち3人は図書館ネット会員でもあります。

テーマは学びと出会いを広げる技
「学校図書館について学校司書、市民それぞれの立場から情報交換や意見交流をしましょう」が目的です。
実演と実践報告のあと、各地の状況が報告されました。

会場は灘中学校・灘高等学校図書館。

学図研交流会3

灘中・高校の図書館をお訪ねするのも3回目になりました。

学図研交流会2

参加者のなかに、宝塚市のボランティアの方もおられました。実践報告をされた学校司書さんの応援に来られたとか。司書さんとボランティアの関係がうまくいっているからこそのことですね。

こうべ子ども文庫連の2人がストーリーテリングと読み聞かせの実演をしました。いつものようにロウソクを灯して…。
やっぱりストーリーテリング、好きだな。

続いて実践報告。学校司書になって4年という若い学校司書さんが報告してくださいました。
「つながり」に支えられた毎日のお仕事の様子を詳しくお聞きしました。
先生に学校図書館を授業で活用してもらうための工夫とコミュニケーションの大切さを感じました。
学期ごとに各学級担任あてに「資料提供について」というプリントを配布されています。国語科の各単元ごとに準備できる参考図書をリストにし、リスト以外の本も希望が書ける欄を設けています。これなら、先生方も頼みやすいだろうなと思いました。

次は実技工作。毎回子どもたちが喜びそうな工作を紹介してくださいます。今回は「パクパクパペットとり」と「クリップキャッチャー」を作りました。
短い時間でできるようにご準備いただきありがとうございました。

休憩をはさんで、情報交換と意見交流です。
学校司書さんや司書教諭の皆さん、ボランティアの方々が自分の地域の学校図書館の状況を報告し、直面している課題について情報交換をしました。

自治体によって学校図書館職員の体制や勤務状況は違っています。研修がほとんどなかったり、職員間の交流がないところもあります。さまざまな制約があるなかで、子どもたちのためにひとりひとりが努力を重ねています。
時には無力感に襲われながらも、頑張れるのは何故なんだろう? 私自身、どうして続けてこれたのか…。きっと学校図書館に救われた子ども時代があったからなんでしょうね。
そして、この交流会のように前向きな人たちに出会うことが、次への力になっています。

この場を設けてくださった学図研兵庫支部の皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。


やっぱり図書館が大事Part25

2月14日、大阪府子ども文庫連絡会主催 児童文化講座に参加しました。
今回は公開講座ということで、図書館ネットから3人が会場である大阪市立中央図書館に行きました。

やっぱり図書館が大事 Part25
「家庭文庫から始まる図書館支援」
講師は草谷桂子さんです。

草谷さんは1981年から静岡で「トモエ文庫」を主宰しておられ、児童文学者でもいらっしゃいます。
長らく静岡県立図書館協議会委員をされ、「静岡図書館友の会」の中心メンバーです。静岡市立図書館への指定管理者制度導入の話が持ち上がった際その阻止に貢献されたことは知っている方も多いのではないでしょうか。
図書館友の会全国連絡会でも重要な役割をしてこられています。


子どもの読書支援、文庫の運営、図書館に関する市民活動などにかかわるものにとって、草谷さんのお話は何度聞いても勉強になります。
私も久しぶりにお会いできるのを何か月も前から楽しみにしていました。

大子連草谷氏講演会

講演会は、草谷さんが農家に嫁がれたところからはじまりました。
文庫を始めるまでの15年間に、地元にしっかりと人のネットワークを拡げられたことを知りました。
開庫とともに「静岡子どもの本を読む会」に入会し運営委員となられたことも、その後の文庫や図書館支援の活動につながっているのではないかと思いました。

トモエ文庫の多くの写真を拝見しましたが、単に子どもたちの読書支援にとどまらない、大人も含めた地域活動になっていることを改めて感じました。地域に根ざした活動を続けていらっしゃるからこそ、人の輪を広げつないで、図書館の問題に取り組み、成果を上げてこられたことがよくわかります。

静岡県立図書館協議会委員、御幸町図書館基本構想委員会委員などを歴任される一方、「静岡市の図書館をよくする会」等の利用者団体でも精力的に図書館の課題に取り組んでこられたことは、市民と行政が協働して図書館をよりよくするという理想の形を私たちの目の前に示してくださっています。

私たち図書館ネットの目的も市民と行政が手を携えて図書館をよりよくすることです。
草谷さんのお話は、立場は違えど図書館が大事と思う「人」のつながりから始まるのだということを再認識させてくださいました。

昨年春、韓国政府文化体育館後部主催の「小さな図書館」全国大会で事例発表された時のことなども話してくださり、興味の尽きない講演でした。ありがとうございました。


午後からは交流会でした。
草谷さんへの質問から始まりました。
図書館職員とのネットワークのつくり方や韓国の文庫事情など丁寧に質問に答えてくださいました。

その後、吹田市、富田林市、堺市、枚方市、大阪市、阪南市、豊中市、泉佐野市などの大子連会員から報告がありました。
大阪府下全域に会員がいる大子連です。各市、地域で図書館の置かれている状況が違っています。しかし、その課題は共通していることが多く、こうした情報交換の場がそれぞれの地域での活動に力を与えていることを感じます。

多くの問題を抱えながらも、課題解決に向け真摯に活動していらっしゃる様子を聞くことができ、私たちもパワーをいただくことができました。神戸市にも数多くの読書団体があります。その一部は連絡会に参加して情報交換したり学習したりする機会を持っていますが、一堂に会する機会はなかなかありません。静岡や大阪のように、図書館を中心に関係団体の大きな輪をつくっていければと思います。




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