学校図書館問題研究会兵庫支部との交流会(2017年)

学校図書館問題研究会とこうべ子ども文庫連絡会との交流会は毎年この時期の開催が恒例です。
今年は2月26日に開催されました。文庫連から4名参加、うち3人は図書館ネット会員でもあります。

テーマは学びと出会いを広げる技
「学校図書館について学校司書、市民それぞれの立場から情報交換や意見交流をしましょう」が目的です。
実演と実践報告のあと、各地の状況が報告されました。

会場は灘中学校・灘高等学校図書館。

学図研交流会3

灘中・高校の図書館をお訪ねするのも3回目になりました。

学図研交流会2

参加者のなかに、宝塚市のボランティアの方もおられました。実践報告をされた学校司書さんの応援に来られたとか。司書さんとボランティアの関係がうまくいっているからこそのことですね。

こうべ子ども文庫連の2人がストーリーテリングと読み聞かせの実演をしました。いつものようにロウソクを灯して…。
やっぱりストーリーテリング、好きだな。

続いて実践報告。学校司書になって4年という若い学校司書さんが報告してくださいました。
「つながり」に支えられた毎日のお仕事の様子を詳しくお聞きしました。
先生に学校図書館を授業で活用してもらうための工夫とコミュニケーションの大切さを感じました。
学期ごとに各学級担任あてに「資料提供について」というプリントを配布されています。国語科の各単元ごとに準備できる参考図書をリストにし、リスト以外の本も希望が書ける欄を設けています。これなら、先生方も頼みやすいだろうなと思いました。

次は実技工作。毎回子どもたちが喜びそうな工作を紹介してくださいます。今回は「パクパクパペットとり」と「クリップキャッチャー」を作りました。
短い時間でできるようにご準備いただきありがとうございました。

休憩をはさんで、情報交換と意見交流です。
学校司書さんや司書教諭の皆さん、ボランティアの方々が自分の地域の学校図書館の状況を報告し、直面している課題について情報交換をしました。

自治体によって学校図書館職員の体制や勤務状況は違っています。研修がほとんどなかったり、職員間の交流がないところもあります。さまざまな制約があるなかで、子どもたちのためにひとりひとりが努力を重ねています。
時には無力感に襲われながらも、頑張れるのは何故なんだろう? 私自身、どうして続けてこれたのか…。きっと学校図書館に救われた子ども時代があったからなんでしょうね。
そして、この交流会のように前向きな人たちに出会うことが、次への力になっています。

この場を設けてくださった学図研兵庫支部の皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。


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やっぱり図書館が大事Part25

2月14日、大阪府子ども文庫連絡会主催 児童文化講座に参加しました。
今回は公開講座ということで、図書館ネットから3人が会場である大阪市立中央図書館に行きました。

やっぱり図書館が大事 Part25
「家庭文庫から始まる図書館支援」
講師は草谷桂子さんです。

草谷さんは1981年から静岡で「トモエ文庫」を主宰しておられ、児童文学者でもいらっしゃいます。
長らく静岡県立図書館協議会委員をされ、「静岡図書館友の会」の中心メンバーです。静岡市立図書館への指定管理者制度導入の話が持ち上がった際その阻止に貢献されたことは知っている方も多いのではないでしょうか。
図書館友の会全国連絡会でも重要な役割をしてこられています。


子どもの読書支援、文庫の運営、図書館に関する市民活動などにかかわるものにとって、草谷さんのお話は何度聞いても勉強になります。
私も久しぶりにお会いできるのを何か月も前から楽しみにしていました。

大子連草谷氏講演会

講演会は、草谷さんが農家に嫁がれたところからはじまりました。
文庫を始めるまでの15年間に、地元にしっかりと人のネットワークを拡げられたことを知りました。
開庫とともに「静岡子どもの本を読む会」に入会し運営委員となられたことも、その後の文庫や図書館支援の活動につながっているのではないかと思いました。

トモエ文庫の多くの写真を拝見しましたが、単に子どもたちの読書支援にとどまらない、大人も含めた地域活動になっていることを改めて感じました。地域に根ざした活動を続けていらっしゃるからこそ、人の輪を広げつないで、図書館の問題に取り組み、成果を上げてこられたことがよくわかります。

静岡県立図書館協議会委員、御幸町図書館基本構想委員会委員などを歴任される一方、「静岡市の図書館をよくする会」等の利用者団体でも精力的に図書館の課題に取り組んでこられたことは、市民と行政が協働して図書館をよりよくするという理想の形を私たちの目の前に示してくださっています。

私たち図書館ネットの目的も市民と行政が手を携えて図書館をよりよくすることです。
草谷さんのお話は、立場は違えど図書館が大事と思う「人」のつながりから始まるのだということを再認識させてくださいました。

昨年春、韓国政府文化体育館後部主催の「小さな図書館」全国大会で事例発表された時のことなども話してくださり、興味の尽きない講演でした。ありがとうございました。


午後からは交流会でした。
草谷さんへの質問から始まりました。
図書館職員とのネットワークのつくり方や韓国の文庫事情など丁寧に質問に答えてくださいました。

その後、吹田市、富田林市、堺市、枚方市、大阪市、阪南市、豊中市、泉佐野市などの大子連会員から報告がありました。
大阪府下全域に会員がいる大子連です。各市、地域で図書館の置かれている状況が違っています。しかし、その課題は共通していることが多く、こうした情報交換の場がそれぞれの地域での活動に力を与えていることを感じます。

多くの問題を抱えながらも、課題解決に向け真摯に活動していらっしゃる様子を聞くことができ、私たちもパワーをいただくことができました。神戸市にも数多くの読書団体があります。その一部は連絡会に参加して情報交換したり学習したりする機会を持っていますが、一堂に会する機会はなかなかありません。静岡や大阪のように、図書館を中心に関係団体の大きな輪をつくっていければと思います。




上田由美子氏講演会

上條由美子さんとして知られている上田由美子さんの講演会に行ってきました。
(11月8日 神戸市青少年会館にて)

こうべ子ども文庫連絡会の主催です。80人の定員ですが、早い段階で定員いっぱいになっていたようです。
1932年のお生まれということですが、とてもそうは見えません。とても若々しくお見受けしました。

上田由美子氏講演会1

上條由美子さんの翻訳といえば「きかんしゃホブ・ノブ」や「ミリー・モリー・マンデーのおはなし」がすぐに思い浮かびます。会場には著作や翻訳された本がたくさん展示してありました。


上田由美子氏講演会2

上田由美子氏講演会3

文庫連の主催ということで「子どもたちに本を手渡す大人にとって大切なこと」が大きなテーマです。
・子どもの本は文学
・言葉を単純化し擬音語擬態語を多用することが子どもの本ではない
・言葉の基礎をつくるという意味でも読み聞かせは重要
・子ども時代は短く感受性が強い時期だからこそよい本に触れることが大切
・子どもたちはj繰り返しつつ認知する。その繰り返しの中で本を見る目を養う

などなど・・・・
心にとめるべきことが次々に語られます。


後半は具体的な作品をいくつも示しながら、詳しく解説してくださいました。
幼い人たちが本を通して「言葉の基礎」を学び「生涯にわたる永続的な喜び」を知り「安定してよって立つところ」を得て「人生の基準」を持つに至る手助けをするのが大人の役割なのだということを、改めて心に刻みました。


実のところ私にとって「よい赤ちゃん絵本」というものは安心感や満足感が得られるもの、と漠然としていました。感覚で捉えていたといってもいいと思います。今回上田由美子さんの具体的かつ詳細な解説をお聞きし、幼い人たちにとっての「よい赤ちゃん絵本」を理解することができました。

単純な言葉の中に日本語の使い方がしっかりと息づいていて、それが小さな人たちに無理なく染みこんでいくものであったり、擬音語や擬態語が安易に使われるのではなく、それが表す状態をきちんと表現できているものであったり…。実際に上田さんが読み比べてくださることで、より鮮明に理解できました。

私は直接子どもたちに読み聞かせをするという活動はしていません。子育ても終わっています。でもこの機会を得たことをどこかで役立てられたらと思います。
上田由美子先生との出会いに感謝し、お世話くださった文庫連役員の皆さまにお礼申し上げます。


目黒強先生講演会

こうべ子ども文庫連絡会の研究会に行ってきました。(9月23日)
会員対象の絵本研究会としての開催です。

テーマは子どもを取り巻くメディア環境から読書活動を考える
講師は目黒強先生(神戸大学大学院人間発達環境研究科准教授)です。

目黒先生は神戸市立図書館協議会の委員を4期務められていて、お話を伺う機会を持ちたいと思ってきました。「近代日本における児童文学の成立」がご専門の先生のお話を文庫連のみなさんとともに聞けて良かったと思います。

さて講演です。
明治期における小説観、児童文学観
多くの資料をもとに、明治期の読書に対する考え方の変遷を丁寧に説明してくださいました。写実主義の流行に伴い「小説」が青少年に及ぼす影響が社会問題化し、そこから有害図書観が生まれました。一方では児童文学に教育的価値を認める動きも出てきました。

現代でも「小説」「テレビ」「ゲーム」の子どもたちへの影響が問題とされ有害図書の規制が唱えられたり、反対に教育的価値について語られ子どもたちに「よい本」を与えようとしたりしています。
では、明治期と現代では同じ価値観なのか? というと、そうともいえません。なぜなら、その基準が恣意的だからです。時代によって、有害なもの、価値のあるものが変わるからです。

そもそも子どもの読書に教育的価値を認める読書観は歴史社会的産物であり、それは選書基準の恣意性を示すものです。
その時代時代の社会状況や背景によって「常識」が変わるということです。

明治期には、昔話は恐るべき弊害をもたらすものだと考えられていたそうです。今では、私たちは子どもたちに「昔話」を語ることはよいことだと思っています。自分が信じている「常識」にとらわれないことが重要なことです。

今の子どもたちの読書量と読書傾向
子どもたちの読書量は各年代とも増えています。2000年ごろからの10分間読書の影響もありそうです。

マンガ・アニメの原作本、児童文庫(創作)、オンライン小説原作本、テレビゲーム原作本、ボカロ本などが子どもたちに好まれているとのこと。それぞれについて詳しい紹介と解説をしていただきました。
「ONE PIECE」「名探偵コナン」「アオハライド」「ストロボ・エッジ」「若おかみは小学生」「モンスター・ハンター」「カゲロウデイズ」と知っているタイトルが続きます。しかし読んでいないというのも事実。子どもたちの好みを理解するのは簡単ではなさそうです。

マンガ・アニメ的リアリズム、オンラインRPGのリアリズムという言葉は初めて聞きました。アニメやゲームをノベライズする際にはそれぞれ特有の流儀や手法があるようです。これはもしかしたら、安倍工房や清水邦夫、唐十郎や寺山修二の演劇を見るときにいったん日常の常識を取っ払って、演劇世界に没入しないとわからないといったことと同様なのではないか…とかつての演劇少女は思ったのですが、違うのかな?

ボカロ小説については、図書館ネットが主催している「KOBE ブッククラブ(読書会)」で紹介されたことがありますし、音楽からインスパイアされた小説というのは昔からあるので、なるほどと思って聞いていました。

ここまではまだ理解できそうだったのですが、ゲーム実況(プレイヤーが実況中継するようにしゃべりながらゲームをプレイする動画)にいたっては、物語体験なのだと言われても想像を超えてしまいました・・・。

インターネットを通して物語に参加して読者がつくり手にもなる現代の読書体験については、非常に現代的であり、私たちが体験することがなかった読書の楽しみ方なのだろうと思います。これは私も体験してみたい楽しみ方です。

子どもの読書活動の支援・学力と読書文化資本
2001年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行されてから、様々な支援の方策がなされてきました。「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」も第三次が定められ、神戸市でもそれに基づいた「第3次子供読書活動推進計画」が策定されています。学校図書館法も改正され、神戸市の小中学校への学校司書配置も進んでいます。

そんな中、読書量の多さと学力の相関関係がよく話題になります。先生が用意された資料からも、読書量の多い子どもや読書が好きな子どもの学力テストの正答率が高いことははっきりとわかります。
しかし、それは読書をすれば学力がつくということではありません。読書をする環境が整っている場合学習する環境を整っている場合が多いということなのでしょう。

先生は家庭における読書文化資本量は学習態度の形成につながり、それが学力となって表れているとおっしゃいます。
家庭における読書文化資本の格差の是正手段として家庭以外における読書活動の支援があるのです。

その支援のためには学校図書館や公共図書館を整備・充実させるとともに、司書教諭・学校司書・読書ボランティアなどの人的環境の充実と支援の強化が必要です。

先生は、家庭における格差をなくし、どの子どもにも充実した読書環境をもってもらうために活動し続けているのだとおっしゃいます。私たち、読書にかかわるものすべての思いです。

最後に、読書ボランティアへの期待として
①読書観が歴史的社会的産物であることを踏まえながら、自らの読書観を更新し続けてほしい
②子どもたちの物語の楽しみ方に理解を示してほしい
③子どもたちが読書文化に触れる機会を保障する担い手であってほしい
とお話しくださいました。

私たちはこれからも、子どもたちとともに子どもたちに寄りそって、物語を届ける役割を担っていきたいと思います。


未来の図書館ために今、できること

大阪府子ども文庫連絡会(大子連)主催の公開講座に行ってきました。

やっぱり図書館が大事Part24
「未来の図書館のために今、できること」
(2月9日10:00~15:00 大阪市立中央図書館にて)

午前は講演会、午後は交流会というプログラムです。

講師は猪谷千香さん。ハフィントンポスト日本版記者にして「つながる図書館」(ちくま新書)の著者です。
猪谷さんの講演は、14年12月の近畿公共図書館協議会の研究集会でも聴講しました。そのときの報告はこちら。

近畿公共図書館協議会研究集会その1

まず、2000年代に起きた図書館の変化について説明。そして話は従来のイメージを破る新しい図書館
いくつもの図書館の取り組み事例を解説してくださいました。
以前の講演では紹介されなかったものもあります。

武蔵野プレイス(東京都)、伊那市立図書館(長野県)、江戸川区立篠崎子ども図書館、鳥取県立図書館、海士町の島まるごと図書館構想(島根県)、紫波町図書館(岩手県)、富山市立図書館、舟橋村立図書館(富山県)、伊万里市民図書館(佐賀県)。
実際に取材したからこその丁寧な紹介です。

自治体の規模も図書館の規模もそれぞれ違い、その特徴もさまざまです。共通点は横連携。担当部局を超えて、住民とともに作りあげている図書館のお話を聞いていると、本当にその町に住みたくなってきます。

昨年ツィートが話題になった鎌倉市立図書館の話では、現在図書館に求められているのはサードプレイスであるとの解説がありました。サードプレイスは最近ボランティア活動の話題の中でもよく出てきます。多くの人が求めているのは「街づくり」「地域コミュニティ」だということなのでしょう。図書館はその中心になれるということです。

そして今、社会的関心は東京一極集中と少子高齢化に伴う地方の疲弊にあります。図書館は地域活性化のための集客施設としての役割も期待されるようになりました。
TSUTAYA図書館が紛糾する選書問題で、教育長や教育委員会が選書に携わるという新たな問題を起こしていることを指摘されました。

その一方で困窮する自治体財政の中、神奈川県立図書館問題のように存立の危機にある図書館も数多く出てきています。

日本の貧困化や逼迫する書店の問題にも話は及びました。書店がない町が次々に生まれている現在、知識を得る手立てを守るために地域の書店と図書館の連携も必要です。家庭の経済状況に左右されない学習を保障するのも図書館の役割です。

図書館からの情報発信については、それが図書館の味方を増やすことになるという指摘になるほどと思いました。
いつもいつも課題となっている非利用者への情報の届け方ですが、より広範囲に届けるためには「BUZZ」(ハチなどがブンブンいうこと。 口コミを意味するマーケティング用語)が必要とのことでした。

最後に図書館の役割を再考するとして挙げられたのは次の点でした。
・孤立せずに外部と「つながる図書館」
・サードプレイスとしての図書館
・激変する情報環境に適応する図書館
・ソーシャルメディアで味方を増やす図書館
・地域の人たちと協働、活動を広げる図書館
・出版社、書店、作家と連携する図書館
・「知の拠点」であり、「知のセイフティネット」


多くの問題を抱えながらもその役割を果たそうとする図書館と、図書館を支える市民。
私たちが今できることを示唆していただいた講演でした。


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