神戸新聞が村上春樹さんの学校図書館貸し出し記録を掲載
10月5日15時ごろ、神戸新聞NEXTに
「村上春樹さん 高1でケッセル愛読 神戸の母校に貸し出し記録」
という記事が配信されました。
そこには帯出カード(貸出カード)の写真が写っていました。村上春樹さんだけでなく、他の方々のお名前もはっきり読めます。
カードの写真は2枚ありました。
これって、何? 何が起こっているの?
私がこの記事を知ったのはすでに夜になってからのことでしたので、翌朝(6日)神戸新聞社に問い合わせの電話をしてみました。
最初「神戸新聞パートナーセンター お客さま室」というところに電話して、報道部に電話してくださいとのことだったので、
そちらに電話。午後、文化部から電話をいただきました。
対応は非常に丁寧で、新聞社としての考え方をきちんと説明していただきました。ありがとうございました。
この電話は図書館ネットとしてではなく、私が個人の名前を告げての問い合わせだったことを申し添えます。
以下に電話の内容を記します。
本紙では5日付の夕刊に村上春樹さんを含む3名のお名前が記載された帯出者カードが写っている写真1枚とともに掲載したとのことです。
① 神戸高校の了解は取っている
神戸高校を取材し、このような記事を掲載することについては
了解いただいていると考えている。
② 帯出者カードに記載のある方々の承諾はとっていない
・村上春樹さんについては
社会的関心が高い公人である。どのような経緯をたどって今のよう
な存在になったのかという原点を探る意味で重要な情報であり、記
事である。また村上春樹研究に役立つと考えている。
最近のものではなく古い記録である。
・その他の方々について
新聞社としても迷ったが、他の方の名前を消すとカードの真偽が
わからない。
この形でそのままカードを掲載することで記事の根拠になり、資料
的価値が高まる。
個人情報保護とのせめぎあいの中で、そのまま掲載することにし
た。
③ 個人の同意がない情報を掲載する場合には神戸新聞社行動規範に従い公共の利益に資するかどうかで判断している
今回の場合は村上春樹さんは公人であり社会的関心が高くこの話題に
は価値がある。
その他の方は、記事の根拠と資料的価値を高めることを優先した。
④ 図書館は利用者の秘密を守るということについては承知している。
とのことでした。
新聞社として個人情報をどこまで開示するかは常にせめぎあいであって、迷うところであるが公共に資するのが新聞社の役割である。
今回は村上春樹さんが非常に優秀な生徒であったという話題であるので記事にすることにした。
のだそうです。
こちらからの質問に答えて
公共図書館ではなく学校図書館であることで利用履歴の開示のハードルは低くなったのか
そうだったと思う。
公共図書館の利用履歴が同じように入手できれば掲載するのか
公共図書館ではこのような形で利用履歴は残っていないのではないか
公共図書館で特定の記録をたどるのは現実的ではないが、昔の記録が
あれば載せるかもしれない。
職員の人から特定の社会的関心が高い人が若いころこんな本を読みに
通っていた等の証言があれば 資料的価値があると考える。
学校図書館も図書館であり、利用者の秘密は守られなければならない、また読書履歴は個人の人格の形成にかかわる重要な個人情報であり、みだりに開示してはならないという私個人の考えを伝えたところ、そのようなご意見があることを踏まえ、今後はこのような記事は掲載しないと思う。なぜなら新聞は読者あってのもので、世論の動向は踏まえていかねばならないからというお話でした。
以上、ご報告まで。
尚、神戸新聞NEXTの当該記事は6日午後より会員限定の有料記事になっています。
この件については図書館ネット会員の中でもさまざまな受け取り方があるだろうと思います。会員間の意見交換はまだできておりませんので、電話の最後でお伝えしたのは図書館ネットで合意された考え方だというわけではありません。
図書館ネットでは今後もしっかり学んでいきたいと思っています。
(10月8日追記)
多くのみなさんがこのエントリーをご覧くださっているようです。ありがとうございます。
「なぜ神戸高校に説明を求めていないのか」という点について疑問をお持ちの方があるかと思いますので、追記します。
この記事が掲載されたことについて確認しなければならないことがあると考えました。まず、神戸高校が了解していらっしゃるかどうか、そして当事者の方々の承諾を得ていらっしゃるかどうかです。この2点が確認できないことには、この記事に問題があるのかどうかを判断することはできないと考えました。
お電話をしたことでこの2点について知ることができ、神戸新聞社としてのお考えを知ることもできました。
神戸高校には神戸高校としてのお考えがあるでしょうし、取材を受けられた先生には先生のお考えがあると思います。しかし、まだそれをお聞きする機会を持っていません。
ですので、今のところは神戸新聞社文化部から直接お聞きしたことのみをご報告しております。ご理解いただければと思います。
(10月20日追記)
下記エントリーもご覧ください。
学校図書館問題研究会 神戸新聞が貸し出し記録を掲載した件について「見解」を公表
(12月1日追記)
日図協「神戸高校旧蔵書貸出記録流出について(調査報告)」
「村上春樹さん 高1でケッセル愛読 神戸の母校に貸し出し記録」
という記事が配信されました。
そこには帯出カード(貸出カード)の写真が写っていました。村上春樹さんだけでなく、他の方々のお名前もはっきり読めます。
カードの写真は2枚ありました。
これって、何? 何が起こっているの?
私がこの記事を知ったのはすでに夜になってからのことでしたので、翌朝(6日)神戸新聞社に問い合わせの電話をしてみました。
最初「神戸新聞パートナーセンター お客さま室」というところに電話して、報道部に電話してくださいとのことだったので、
そちらに電話。午後、文化部から電話をいただきました。
対応は非常に丁寧で、新聞社としての考え方をきちんと説明していただきました。ありがとうございました。
この電話は図書館ネットとしてではなく、私が個人の名前を告げての問い合わせだったことを申し添えます。
以下に電話の内容を記します。
本紙では5日付の夕刊に村上春樹さんを含む3名のお名前が記載された帯出者カードが写っている写真1枚とともに掲載したとのことです。
① 神戸高校の了解は取っている
神戸高校を取材し、このような記事を掲載することについては
了解いただいていると考えている。
② 帯出者カードに記載のある方々の承諾はとっていない
・村上春樹さんについては
社会的関心が高い公人である。どのような経緯をたどって今のよう
な存在になったのかという原点を探る意味で重要な情報であり、記
事である。また村上春樹研究に役立つと考えている。
最近のものではなく古い記録である。
・その他の方々について
新聞社としても迷ったが、他の方の名前を消すとカードの真偽が
わからない。
この形でそのままカードを掲載することで記事の根拠になり、資料
的価値が高まる。
個人情報保護とのせめぎあいの中で、そのまま掲載することにし
た。
③ 個人の同意がない情報を掲載する場合には神戸新聞社行動規範に従い公共の利益に資するかどうかで判断している
今回の場合は村上春樹さんは公人であり社会的関心が高くこの話題に
は価値がある。
その他の方は、記事の根拠と資料的価値を高めることを優先した。
④ 図書館は利用者の秘密を守るということについては承知している。
とのことでした。
新聞社として個人情報をどこまで開示するかは常にせめぎあいであって、迷うところであるが公共に資するのが新聞社の役割である。
今回は村上春樹さんが非常に優秀な生徒であったという話題であるので記事にすることにした。
のだそうです。
こちらからの質問に答えて
公共図書館ではなく学校図書館であることで利用履歴の開示のハードルは低くなったのか
そうだったと思う。
公共図書館の利用履歴が同じように入手できれば掲載するのか
公共図書館ではこのような形で利用履歴は残っていないのではないか
公共図書館で特定の記録をたどるのは現実的ではないが、昔の記録が
あれば載せるかもしれない。
職員の人から特定の社会的関心が高い人が若いころこんな本を読みに
通っていた等の証言があれば 資料的価値があると考える。
学校図書館も図書館であり、利用者の秘密は守られなければならない、また読書履歴は個人の人格の形成にかかわる重要な個人情報であり、みだりに開示してはならないという私個人の考えを伝えたところ、そのようなご意見があることを踏まえ、今後はこのような記事は掲載しないと思う。なぜなら新聞は読者あってのもので、世論の動向は踏まえていかねばならないからというお話でした。
以上、ご報告まで。
尚、神戸新聞NEXTの当該記事は6日午後より会員限定の有料記事になっています。
この件については図書館ネット会員の中でもさまざまな受け取り方があるだろうと思います。会員間の意見交換はまだできておりませんので、電話の最後でお伝えしたのは図書館ネットで合意された考え方だというわけではありません。
図書館ネットでは今後もしっかり学んでいきたいと思っています。
(10月8日追記)
多くのみなさんがこのエントリーをご覧くださっているようです。ありがとうございます。
「なぜ神戸高校に説明を求めていないのか」という点について疑問をお持ちの方があるかと思いますので、追記します。
この記事が掲載されたことについて確認しなければならないことがあると考えました。まず、神戸高校が了解していらっしゃるかどうか、そして当事者の方々の承諾を得ていらっしゃるかどうかです。この2点が確認できないことには、この記事に問題があるのかどうかを判断することはできないと考えました。
お電話をしたことでこの2点について知ることができ、神戸新聞社としてのお考えを知ることもできました。
神戸高校には神戸高校としてのお考えがあるでしょうし、取材を受けられた先生には先生のお考えがあると思います。しかし、まだそれをお聞きする機会を持っていません。
ですので、今のところは神戸新聞社文化部から直接お聞きしたことのみをご報告しております。ご理解いただければと思います。
(10月20日追記)
下記エントリーもご覧ください。
学校図書館問題研究会 神戸新聞が貸し出し記録を掲載した件について「見解」を公表
(12月1日追記)
日図協「神戸高校旧蔵書貸出記録流出について(調査報告)」
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